2025.05.01

食べることは、生きること

船戸 博子

ここでは…あわてなくてもいい。がんばらなくてもいい。
黙っていてもいい。泣いても、笑っても、ひとりでも…
どんなあなたでも、そのままでいていいんだよ。

肩の力を抜いて、少しゆっくりと歩いて
鳥の声に足をとめて、風のにおいに目を閉じる。

そんなふうに過ごしていると
じぶんのなかの時計が、静かに時を刻みはじめる。

忙しさから少し離れて、深く息を吸い込むと
思いがけず、ふっと涙がこぼれそうになるときがある。

無理をしていたことにも、気づかずにいた自分がいたことにも
この静けさが、そっと教えてくれる。

春の山にかこまれて、朝露の光る野菜を摘み
土のにおいをかぎながら…台所に立つ。

ここでは、特別な料理はないかもしれない
でも、毎日が特別だと思えるような、そんなごはんがある。

にわとりが産んだ卵の、あたたかさ…
その命を、ありがたくいただく朝。

芽吹いた野草、ハーブや薬草の力を借りて…
湧き水で洗い、火を入れ、煮含めていく。

雑穀のお粥、山菜の煮物、季節の薬草湯
どれも静かで、どこか懐かしく、からだの芯に、やさしくしみていく。

野菜の煮物が、こんなにもしみるなんて…
薬草湯につかる時間が、心をほどくなんて…
夜がこんなに静かで、朝がこんなにやさしいなんて――

この場所に来ると、からだの声が、ようやく聞こえてくる。

「何かが足りない」のではなく、
「すでに十分にある」という感覚が、ゆっくりと、思い出されてくる。

ハーブの香り、果実の甘み、
空気のやわらかさ、水の清らかさ
すべてが、今のあなたに必要なものとして、静かにそばにある。

食べること、眠ること、ただ、そこにいること
それだけで、人は少しずつ整い、ゆるみ、また生きていけるようになる。

____________________

Villa CAMPOは、船戸クリニックのすぐ隣にある小さな宿泊施設です。

だけど、「病院の横にある場所」というよりも、
わたしたちはここを、「心と身体をゆるめる場所」と思ってもらえたら…と願っています。

医療のサポートを受けながら泊まる方もいます。
でも、もちろんそれだけではありません。

ただなんとなく、疲れがたまってきたな…
気が張りつめた毎日から、少し離れたいな…
誰かと会いたいわけじゃないけど、ひとりきりも苦しくて
大きな理由はないけれど、どうしても「休みたい」って思ったとき…。

そんなときに、ふらりと訪れてくれてもいい。

誰かと比べなくていいし、がんばることもしなくていい。
ここでは「どうしたの?」と聞かれることも、
「元気になってね」と言われることもありません。
静かに、ただここにいて、ごはんを食べて、
眠って、空を見て、それだけで、十分なのです。

Villa CAMPOは、どんなあなたも迎え入れられる場所でありたいと思っています。
Villa CAMPOは、自然の恵みと、静かな時間と、人の手のぬくもりとともに
今日もそっと、扉をひらいて待っています。

ここに来た人が、決まって言う言葉は、
「こんな場所があったなんて知らなかった」
そして最後に、「帰りたくないな」って、つぶやくんです。

もし少しでも「気になる」と思ったら――
それは、今のあなたに必要な時間なのかもしれません。

______________________
ある日の天地香薬

天地香薬:ローズ
漢方茶:十全大補湯
前菜:白菜とりんごのサラダ
主菜:サバのトマトソース煮
主飯:土筆としらすのごはん
スープ:ブロッコリーのポタージュ
デザート:小豆といちごの葛ねり

その日の体と心によりそう、季節の献立。
野菜も、薬草も、土筆も、すべてはその日の、その土地の“いのち”。
食べることが、じぶんを癒す手立てになるように。
ここでの食事は、薬ではなく、対話のようなものです。

Villa CAMPOの日々のごはんや滞在の風景はInstagramでご紹介しています

PAGE TOP

診療時間

診療時間 日•祝
09:00-12:00 open open open open open open close
17:00-19:00 open open close h_open open close close

※木曜日の午後は14:00〜17:00です。
※水・土曜日の午後は休診です。
※日曜日・祝祭日は休診です。

ご予約・お問合せ

0584-35-3335